東京物語

言わずと知れた小津安二郎監督の代表作。(1953)

大学生の時「ぴあ」で上映を知り、学校帰りに一人で今は無き銀座の「並木座」でその日の最終回に見ました。客席はサラリーマン風のおじさんで満席。途中客席からすすり泣きの声などが聞こえました。

これはもう。何度見ても泣いてしまうのです。

田舎から、東京の娘、息子を訪ねて来た老夫婦。
一番親身になって世話をしてくれたのが戦死した息子の嫁だった。というお話。
全く甘ったるくなく、みんながきれい事にしている問題を、時に残酷に丁寧に映していて、涙、涙。熱海の温泉に行き,海を眺める笠智衆と、東山千栄子を遠い窓から眺めているような遠景のショットが印象的です。

早口の杉村春子。よく物真似します。
原節子の団地住まい。その後の小津のカラー作品は、部屋の随所にカラフルなやかんとか、ほうきとかが印象的です。これは白黒ですが、やっぱり、ほうきとかの置き方がかわいらしい。 カラーで撮っていたら、絶対きれいな部屋なんだろうなあ。と思います。
小津の作品だと、「おはよう」とか「長屋紳士録」とか子供活躍のおばか路線が好きですが、やっぱり普遍的で力強くて、申し分ないのは、この「東京物語」が一番です。

うちの母は小さい頃、原節子を「のりこさん」(役名)と思っていたそうです。
よほど印象的だったみたいです。
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