悲情城市

1945年、日本占領地から解放された後、中国の国民党が参入して来るまでの混乱の時代を描いた、ホウシャオシェン監督の台湾映画です。(1989年)

真面目なのです。とにかく真面目。

ホウシャオシェンは、小津映画の影響を受けたとのことでして、確かに、小津安二郎、如実に感じます。
でも小津映画は、実はかなりトンマなセリフなどが多く、だいたい子供が唐突な行動を起こして笑えるんですが、この映画は、笑い一切なしって感じです。当時の風物を描いた長ーいショットの数々は、頑固オヤジの一徹さを感じさせます。ちと2時間39分、長いです。

でもでもですね。面白いですよ。いい映画ですよ。

父。死んだ母。ハナ肇って感じの長男。戦死した次男。頭がお花畑になってしまう三男。耳の聞こえない四男。この林さん一家のお話です。

後半、話の中心が四男文清に移ってくると、俄然面白くなって来ます。

銃声の音が響いても、耳の聞こえない為、全く微動だにしない。そして次に呼ばれ、長い廊下を歩いて行く姿が小さくなる。
台北で変な帽子をかぶって、電車にちょこんと座っている。
プラットホームで妻子を連れて立っている。
櫛で頭をなでつけ、妻子と写真におさまる。
どのシーンもずっと心に残ります。ただトニーレオンのファンだからでしょうか。恥ずかしいなあ。だとしたらすいません。
なんだか人に勧めるにも真面目過ぎだし長いしですが、見た後何かが残ります。


この10年後。なんか似てるなーとおもったら、あらま。やっぱり。長男役のチェンソンヨン、「ゴージャス」という映画にスーチーのお父さん役で、ジャッキーチェンをがんがん殴って出演しています。
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