インファナルアフェア


香港では空前の大ヒットを飛ばした2002年の作品。

なぜ、日本では、「HERO」の方がヒットしてこちらがヒットしないのだろう・・・ 。映画としては、こちらの方が断然よくできていると思います。

とにかく映画を見ている最中ずっと、ひきずりこまれ、最後まで集中して見ました。どの部分も香港映画にありがちな、「あちゃーそれやんなきゃ良いのに・・。」という面が全くないです。
ちょっとした面白描写も、ちゃんと節度があってやりすぎていないし、物語もへんに偽善者ぶった方向に行かない。だけど、ちゃんとエンターテイメントだし、軽過ぎないし。

アンディーラウは、脂っ気のない乾燥した感じ。それにひきかえトニーレオンは、脂の乗った、憂いた、泥沼から抜け出せなくもがいている感じ。

主演二人が、魅力的にきちんとスターオーラばりばり出して好演してます。
それから、香港映画を見るようになると、「おいおいまたかよ」と、必ず出て来るエリックツアン。いろんな面を数々みせて、寡黙ながらなんとなくどこか茶目っ気のあるアンソニーウオン。
オンナオンナしないで、美人じゃないのにカッコ良いサミーチェン。ただの脇役と思いきや泣かせるチャップマントゥー。いいねえ、思わずうなるねえ、やるねえ、よかったねえ。と見てて嬉しくなるキャスティング。

伏線のひき方、音楽の使い方、ちょっとやりすぎかと思いますが、大丈夫。十分面白いです。
靴下ちんばっこにわざと履いたアンソニーウオン。トニーレオンの、オーディオ屋で回線の音の違いに驚く顔。「精神科行くんだよ!狂ってるから!」と叫ぶ姿。子分二人のアホなやり取り。
よかった、こんなところも楽しい。

香港映画の私の好きな所は、きちんとどこか現実的な所。凄く荒唐無稽な物語が多いけど、ちゃんと現実の辛さも分かっている。そしてどこか根アカ。今の日本映画は、どこか根暗。そして暗くなければ軽すぎる。この微妙な感覚の違いが映画の違いに現れてしまっている気がします。

でもなー。ケリーチャンのくだりは、どこか唐突だよなー。薄いなあ。サミーチェンの方が断然良いです。
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