2007年3月27日(火)

今日は、メインイベント、オペラ座歌舞伎鑑賞のある一日。
でも夜までぼんやりしているのも、もったいない!と朝7時には起床。

朝食はホテルについているビュッフェにて。
ヨーグルトとりんごのコンポート、パン、というようなシンプルなラインナップなのに、
ヨーグルトが、へんな臭みがなくてサラサラしてて美味しいし、りんごのコンポートも甘過ぎず、
パンも美味しい。飛行機でもそうだっのだけど、なんでもないものが普通に美味しいのが嬉しい。
果物のりんごもオレンジも、砂糖を加えているのか!ってくらい甘かった。土壌が違うのかな?

腹ごしらえも終えて、ちょっと散歩にと出かける。
パリ名物の石畳。ふへー素敵 何気ない街角にも感動する自分。。
なんだか可愛い龍の壁画?
ちょっと小手調べ、と特に宛も無く4号線のVAVIN(ババン)で降りて、
芸術家ゆかりの道を散策。ちょっと歩くとリュクサンブール公園に突き当たる。
春のポカポカ陽気で気持ちがいい中、学生さんたちがひなたぼっこをしている。

リュクサンブール公園では、もう春の花花花が薄くいわゆるパステルカラーで
咲いていて、日本の花の色との違いも実感。どうしてこんなに違うのかな。
日本だと強い色になっちゃうのに。。
とにかく子供が沢山居た。少子化対策が成功して、今フランスはベビーブーム
だとは聞いていたけれど、こんなに沢山居るとは。

それでも小さな男の子は礼儀を知っているし、紳士の国だわあ。

リュクサンブール公園に居た鳥。嘴と足がオレンジ色。
まるっこくてかわいい。

リュクサンブール公園の花々 公園の門扉を開け閉めする紳士なちびっ子
そのまま公園を出て、サンジェルマンデプレ界隈を散策。
フランス語ができないとか、なんだかドキドキとか、そういったことから少し慣れて来た。
ボンマルシェデパートをひやかしたり、カフェでお茶したり。
カフェではホットショコラをオーダー。これまた全然甘くなくてサラサラしてて
日本のココアと大違いですごく美味しかった。
カフェから見た目の前のアパルトマン。お店が並んだ様子が色とりどりでかわいい。
ここで皆さんとお別れして午後3時まで別行動。
通り沿いのパン屋さんで、カタコトのフランス語で
サンドイッチを買う。パリによくいる食べながら歩く人を
お上りさんなりに実践しつつ、テクテク歩いて
オルセー美術館へ。
セーヌ川沿いに建っているこの有名な美術館。
ほとんど並ばず「イラッシャイマセ」などと言われながら入る。

駅を移築しただけあって、高い天井。それも明るい。
ざわざわする声が響き合っていて、気持ちがいい。
雑然とする館内の中、本当あっけない感じで有名な絵画がポローンと
置いてある。ミレーだのモネだのルノアールだの、
あら、見たことがある、というのが、額を何枚も雑然と置いてある中に
展示してあって、日本の敬って申す〜という展示とはエライ違い。
そういえば、世界遺産だのなんだのか、なんの気なしに町中に建っている。
この雑然としてるのにお洒落っていうのは凄い。
そしてやっぱり子供が多い。学校の授業のひとつとして、絵の前でしゃがみこんで
なにやら描いている子あり。グループワークなのか話し合っている子あり。

もっとゆっくり眺めたかったし、今日本にオルセー美術館展が来ているので、
多分点数も少ないのかも。また来たい。と後ろ髪を引かれつつ待ち合わせ場所へ
向かう。

ボンマルシェデパート前の広場に居た方々。
偽物?しかし可愛い。
今度は凱旋門近くで待ち合わせ。つい目と鼻の先とバスに乗ったのが
運のつき。始発だったせいもあって、全然発車せず、
発車したと思ったら、コンコルド広場辺りで大渋滞。
大幅に遅刻して多大なる御迷惑をかける。。すんません。。
フランスの美術界の方と少しだけお話するチャンスに恵まれる。
一応、ファイルも見てもらう。
ちょっといい感触。でも本格的にこちらでもどうにかしようとするなら
それなりに色々準備も必要だし、今の私には到底無理だ。

それでもごく普通のフランスの方に出会えただけで嬉しかった。
やっぱり旅は人との出会いが楽しいのかもしれない。
コンコルド広場前のリノベーション中の建物。
さて!いよいよこの旅のメインイベント!オペラ座de歌舞伎。

一旦ホテルに帰ろうと地下鉄に乗ったら、なんと途中で急停車。なんだかわからないけれど、故障だかなんだかで
10分くらい車内に閉じこめられる。どうせすぐ動くだろうと思いつつも、これでオペラ座に行けなかったら
洒落にならんわい、、と半分涙目になる。暑い。朝は寒いのだけど、午後3時頃に暑さのピークがやってくる。
混んでいる車内で厚着の為、息苦しくなってきた。。と思ったらやっと動いた。良かったー。

それでもホテルで皆さんと合流した時には大遅刻。もう皆さんはフォーマルに着替えていて、
今や遅しと私を待っているばかり。開演にはまだまだ時間があるものの、タクシーで移動の為、
渋滞も考慮して1時間前には出るということになっていたのに、なんたること!
ひーひー言いながら着替える。ああ。この為に化粧とか頭とか色々したいのに、汗だくだわ焦るだわで
なんだか悲しくなってきた。。いいや。と思っていると部屋に「タクシーが来た」との電話。ひえー
スミマセンスミマセン!再び涙目になりつつ、なりふりかまわず飛び出した。
ババーーン!
間に合った!オペラ座!!
そんなに渋滞せずに着く。良かった〜。
薄暗い階段にある電灯。
なんとなく怪人風
有名なシャガールの天井画。ゴシック様式と
なんとなく不釣り合いで面白い。
高い天井に、巨大な高さの定式幕。間口は歌舞伎座より狭め。
客席は、6人1組のボックス席で、鍵が閉められ、ボックス内にコートや荷物を置く所有り。
ふっかふかの椅子が一人ずつ用意されていて、
二人ずつ並んで、一段ずつボックス内も階段になっている。
今日は調度、成田屋後援会のツアーの日に重なって、日本人のお客さんが多かった!
それも着物を着ている方多数。下手したら東京より着物率が高かったかもしれない。

演目は、団十郎弁慶・海老蔵冨樫の勧進帳、口上、紅葉狩のラインナップ。

まずは勧進帳。
字幕が、舞台上の高い位置に設置されいた。

パリ仕様なのか、松羽目物なのに、客席も真っ暗。舞台も薄暗く、まるでお能のようだった。
喋り方もいつもより押さえ目。ゆったりとした感じで舞台が進む。
そのせいもあってか、いつもの手に汗握る丁々発止の勧進帳ではなくて、
幽玄の時の中で、エキゾチックな日本の芸能を見ているような珍しい感じだった。
いつもよりお高くとまっているというか。。

一緒に行った方は、こっちの方がいつもより品がよくて素敵だったと言っていたけれど、
私は、猥雑で生きる力たっぷりのお高くと止まっていない歌舞伎が好きなので、
やっぱり歌舞伎は餅は餅屋。日本で見る方がいいのかもしれないと思った。

それでも海老さんの冨樫はきりりとして素敵だったし、
なにより亀治郎さんの義経。紫色の着物からスッとでた白い手の綺麗なこと。
弁慶にそっと差し出す仕草といい、気品があって惚れ惚れするようだった。

以前、金比羅歌舞伎で度肝抜かれるほど感動したのに比べると、どうしても熱が低い。
多分お客さんも山伏が字幕で「yamabushi」と書いてあるくらいだし、ちょっと意味が伝わっていない
ようで、客席全体の温度も低いような気がした。
そしてやっぱりいくらボックス席でもいかんせん遠すぎる。
オーケストラボックスのそのまた奥でやっているので迫力が無い気がした。

そして口上。これはなんと半分くらいをフランス語で話していた。
日本人には逆にチンプンカンプン。。亀治郎さんなんて流暢に話すこと話すこと。

そして迎えた紅葉狩。
これは舞踊劇だし、長唄、常盤津、義太夫のてんこ盛りで派手な演出だしで、
客席の温度も一気に上がっていた。
団十郎さんもすてきだったし、東京で見た時より、海老蔵も大車輪ではなくて
意味が通って良かった。ちょっと隈取りがヘンテコリンだったけれど、
最後にはドッカーンと舞台もいつものように明るくなっていい感じ。

そういえば紅葉狩の時は客席と舞台との距離も感じなかった。
やっぱり演目の問題なのかしらん。

まあ何はともあれ、オペラ座で歌舞伎を見るという、希有な事を体験。
私には怪人は出なかったけれど、あの空間で見られて嬉しかった。
オペラ座のロビー・・。しえ〜 エントランスでごった返す人々
夕飯は、ちょっと行った所にある、テイクアウト用の中華店にて。軽く済ます。
そんな割りにはチャーハンは脂っこくなくてパラパラだし、海老チリも甘くなくて
夜中の食事にはぴったり。
すこし箸を進めていたら、なんと、店内で広東語が聞こえてきてびっくり。

昔取った杵柄?もう広東語を辞めてしまってから1年くらい経つけれど、
広東語でお店の人に話しかけたらとても喜んでくれて、楽しかった。

まさかパリで広東語を使うはめになるとは夢にも思わなかった!
忘れてしまった単語をたどって、それでもフランス語よりはわかるから、楽しい一時。
うちの店にジャッキーチェンが来たんだぜ!と自慢されてしまった。本当に?
って言ったら本当、本当、と言っていた。ほんとかしらん。

日本人で広東語を話す人は珍しい!としきりに言われてしまった。
でも忘れてしまってるなー。もったいないなあ。

店を出て、そのままタクシーでホテルへ帰る。
改めて考えると夢のようなひとときだった。
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